東アジアは海でつながっていた!
遣唐使の遠きいにしえも、近代の不幸な戦争も、日本人は東アジアのなかで生きていました。
そして、それらの中間の時期、中世・近世の1000年間には何があったのか?
みなさん、ご存じですか?
ふだんあまり語られぬ時期にあえて光を当てることで、
いま、そしてこれからの東アジアの交流を展望します。
【講師】
小島 毅(東京大学人文社会系研究科):儀礼
榎本 渉(東京大学人文社会研究科):商人
齋藤 希史(東京大学総合文化研究科):文学
渡辺 純成(東京学芸大学教育学部):数学
林 士民(寧波市文物考古研究所):陶磁
方 祖猷(寧波大学):思想
銭 明(浙江省社会科学院):思想
安達 裕之(東京大学総合文化研究科):造船
板倉 聖哲(東京大学東洋文化研究所):絵画
保立 道久(東京大学史料編纂所):王権
小島 毅
東京大学人文社会研究科助教授。研究テーマは、東アジアにおいて儒教が果たした政治的・社会的役割、特に朱子学(近世儒教)のなかで礼教がどのように展開したかについて。また、儒教にもとづく王権理論の構造分析を進めている。
小島 毅
東京大学人文社会研究科助教授。
関連著作:
『義経の東アジア』(勉誠出版、2005年)
(編集)『義経から一豊へ 大河ドラマを海域にひらく』(勉誠出版、2006年)
小島 毅
東京大学人文社会研究科助教授
関連著作:
「天道・革命・隠逸──朱子学的王権をめぐって」(安丸良夫編『岩波講座・天皇と王権を考える・4・宗教と権威』、2002年)
『東アジアの儒教と礼』(山川出版社、2004年)
『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)
榎本 渉
東京大学人文社会研究科研究員。9〜14世紀における東シナ海の交流、特に日宋・日元間の貿易・文化交流に関して研究を進めている。
関連著作:
「宋代の「日本商人」の再検討」(『史学雑誌』110-2、2001年)
「元末内乱期の日元交通」(『東洋学報』84-1、2002年)
「中国史料に見える中世日本の度牒」(『禅学研究』82、2004年)
齋藤 希史
東京大学総合文化研究科助教授。中国古典文学(六朝から唐宋)および近代東アジアの言語・文学・出版。
関連著作:
『漢文脈の近代』(名古屋大学出版会、2005年)
(編著)『日本を意識する 東大駒場連続講義』講談社選書メチエ、2005年)
渡辺 純成
東京学芸大学教育学部助手。満洲語は清朝の第一公用語であった。多くの文献が残され、主に政治史や言語学の角度から研究されているが、科学技術文献についてはほとんど研究が進められていない。しかしそれらは、清初のイエズス会士が東アジアに西洋科学を紹介した経緯を調べる上で必須であり、そのため、満洲語自然科学文献の内容を組織的に調べている。
関連著作:
「満洲語のユークリッド──東洋文庫所蔵の満文『算法原本』──」(『満族史研究』vol.3, pp.40-90)
「満洲語医学書『格体全録』について」(『満族史研究』, vol.4, pp.22-113)
「満洲語自然科学術語について」(『アルタイ語研究』, vol.1, pp.69-108)
A Manchu manuscript on arithmetic owned by Toyo Bunko, "euwan fa yuwan benbithe" (SCIAMVS, vol.6, 177-264)
林 士民
寧波市文物考古研究所教授。専門は歴史考古学。寧波史に関しても、陶磁器をはじめとする考古学の側面から研究を進めている。寧波史に関連する著作、『三江変遷−寧波城市発展史話』(寧波出版社、2002年)、『万里絲路−寧波与海上絲綢之路』(沈建国氏と共著、寧波出版社、2002年)がある。
南宋孝宗時代に作られた寧波最初の地方志の中に、中日経済、文化交流にかんする貴重な資料が残されている。日本との唯一の貿易港としての関税記録や商品名、日本僧恵諤、栄西の活躍、呉越王が日本で仏教文献を収集するなどが史料的に確認できる。
銭 明「王陽明と中日韓3国の民族性」陽明心学は日本、韓国にも伝わり、石田梅岩心学、霞谷心学といった流派が形成されてきた。文化の受容によって共通的な東アジア意識が生まれてきたと同時に、学派の思想の相違性から異なる文化形態の特徴も現れてきた。
方 祖猷
寧波大学元教授。中国を代表する陽明学・清代浙東学派の研究者として、国際的にも著名。主な著書に『万斯同年譜』(陳訓慈との共著。中文大学出版社、1991年)・『清初浙東学派論叢』(万巻楼、1996年)・『万斯同評伝』(南京大学出版社、1996年)・『王畿評伝』(南京大学出版社、2001年)がある。
銭 明
浙江省社会科学院研究員。専門は陽明学を中心とする、明清および 日本近世の思想文化。著書に『陽明学的形成与発展』(江蘇古籍出版社、2002年)がある。また、岡田武彦『王陽明与明末儒学』(呉光らとの共訳。上海古籍出版社、2000年)などの翻訳を通じて、日本における明代思想研究を中国に紹介している。
安達 裕之
東京大学総合文化研究科教授。日本造船史
関連著作:
『異様の船−洋式船導入と鎖国体制−』(単著、平凡社、1995年)
『日本の船』和船編(単著、船の科学館、1998年)
「日本の船の発達史への一考察」(『海事史研究』第54号、1997年)
「白と黒−船の場合−」(同上、第55号、1998年)
「大渡考−弁才船の帆装と操帆法−」(同上、第59号、2002年)
安達 裕之
東京大学総合文化研究科教授。日本造船史
板倉 聖哲
東京大学東洋文化研究所助教授。東アジア、特に中国絵画史。東アジア文化圏においてイメージがどのように共有され,差異化されたかを比較し、イメージの生成・伝播・受容の過程を追究。個別の作品論としては南宋時代・明時代の画院画家たちの作品を継続して研究。
関連著作:
『故宮博物院4 明時代の絵画』(日本放送出版協会、1998年9月)
『講座 日本美術史 第2巻 形態の伝承』(東京大学出版会 2005年)
『明代絵画と雪舟』展図録(監修:根津美術館 2005年)など。
保立 道久
東京大学史料編纂所教授。研究テーマは日本中世史のさまざまな分野にわたるが、最大の興味の所在は歴史理論。ユーラシアの西から東の全体を時代区分すること、社会構造論を、その変化に注目しながら考える方法などという問題が、歴史理論にとって本質的な問題となると考えている。
著作:
『中世の愛と従属ーー絵巻の中の肉体』(平凡社、1986年)
『平安王朝』(岩波新書、1996年)
『物語の中世』(東京大学出版会、1998年)
『中世の女の一生』(洋泉社、1999年)
『平安時代』(岩波ジュニア新書、1999年)
『歴史学をみつめ直すーー封建制概念の放棄』(校倉書房、2004年)
『義経の登場』(日本放送出版協会、2004年)
関連著作:
『黄金国家ー東アジアと平安日本』(青木書店、2004年)
小島 毅
東京大学人文社会研究科助教授