海の東アジア 第11回学生アンケート(2007年1月15日)
この講義を聴いた後では、雪舟の山水画を見ても全く日本的だとは思えなくなった。雪舟の画にこれほど中国の影響が強く見られることに驚いた。「日本文化」という枠にはあまり意味がないのだろうか。(文Ⅰ・1年)
最近、メディアが盛んに「和」というものを取り上げて、日本人特有のものだということを強調している。しかし、物事はそう単純ではなく、隣国の文化と密接に結びついている。特に印象に残った話は、昔の画家が中国の絵画だと思って学んだものが実は韓国の絵画だったというものである。それほど国と国の差異は曖昧だったのかもしれない。(文Ⅱ・1年)
外来のものを編集し、独自のテイストを生み出してゆくというのは、有史以来この列島に展開してきた文化に通暁するメソッドであるのだと思う。ただ、一度自らの内部に取り込んだもの(若冲・雪舟etc.…)が、その外来物としての起源を失い、はじめから内発的に生まれてきたものの様に観念されるようになるというのは、一体どのようなわけなのだろうか。今回は芸術分野の話だったが、同じことは思想・技術・政治などの分野にも通じることではなかろうか。(文Ⅲ・1年)
ゴッホが日本の浮世絵をまねた作品をかいていたことは知っていました。構図もまったく同じなのはどうなんだろう、と思っていましたが、今回の授業で、それよりももっとそのまま模写している絵があると知って驚きました。そのような模写は、自分の技術を磨くためにしたのでしょうか。授業を聞いていると“自分の作品”としているものもあったように思います。現在なら著作権の問題に関わるのではないかと思いました。(文Ⅲ・1年)
雪舟と若冲が日本的だと確かに思われている一方で、中国絵画の影響を受けているというより、圧倒的に受けている。また、講義後の修復・模写の話を聞いて、オリジナリティ神話はここ百年のことで、今の現代美術は「それさえも相対化できる立場になっている」とおっしゃられていて、目からウロコが落ちた。(文Ⅲ・1年)
過去の天才は最初から自分なりの画風をもっていたと考えてしまいがちですが、彼らもそれ以前の絵画を学び、宗教・風景のモードの中で絵を書いていたのですね。そして若冲と雪舟は中国絵画というか中国・韓国・日本で共有されていたモードを使っていた。(文Ⅲ・1年)
雪舟については、一番衝撃的だったのが天橋立図だ。中国の図をヒントにして周りを描いていること、家屋の描き方など、異色なものだったことは驚いた。しかも中央と周辺の描き方が違うことから、長い年月をかけて描いたことがわかる、とか、色々なことがわかるんだなぁ、と思った。(文Ⅲ・1年)
今回はプロジェクターでたくさんの絵画を見ることができ、本当におもしろかったです。雪舟や若冲がどれだけ大陸の絵画の影響を受けていたのか、肌で理解できた気がします。それと同時に、ただ絵画の見方のようなものも学べたと思います。私はいつも、ただ漫然と絵画を眺めるだけでしたが、板倉先生が本当に詳しく「見方」を解説してくださったので、次からはもう少し主体的に絵画を見てみたいと思いました。またいつかこのような実践的な授的な授業を受けたいです。(文Ⅲ・1年)