EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI・「東アジア海域交流」テーマ講義 | 海の東アジア ― 海域交流から見た日本

月曜2限(10:40-12:10) 教室:13号館1321
担当教員:齋藤 希史・小島 毅
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

アンケート紹介

2006.12.18(月)安達裕之「日本におけるジャンクの導入」

海の東アジア 第10回学生アンケート(2006年12月18日)


三国丸の和中洋折衷の考えが面白かった。元々構造が違うもの同士の一部を組み合わせることで長所が発揮できるものなのかは疑問だが、挑戦としては面白かった。(文科三類・2年)


朱印船の図が絵馬として残っているというのもおもしろいと思った。鎖国をしてからも、中国との貿易のために外来船の技術を取り入れた船の開発をしていたのは、意外だった。(文科一類・1年)


田沼時代に銅での決済が行われていたことは知っていたが、その輸送の安全性の確保のために、船を新たに造ってしまうのがすごいと思った。(文科二類・1年)


帆の種類によって利用できる風に違いがあると初めて知った。中国の船が白いのは船体に油石灰を塗っているからだということも初めて知った。(文科二類・1年)


日本の現在の造船技術はおそらく中国には勝っていると思われるが、当時の中国の技術、船を彩る技術には、現存から見ても目をみはるものがよくわかり、日本がとり入れたのもよくわかりました。(文科二類・1年)


寛文の唐船が小笠原諸島に行っていたことで小笠原諸島が日本領になったが、もしそうでなければどこか他の国の領土になっていたという話は初耳で、興味深かった。もしも小笠原諸島が日本領でなかったら、日本は今以上に漁業問題で苦しんでいたように思われる。(文科二類・1年)


「朱印船についての技術的な仕様は絵しかないのでよくわからない」とおっしゃっていたが、朱印船に限らず、船についての研究において絵がここまで大きなウェイトを占めているということは…驚きだった。最後に触れられていた「船は必ずしも実用一辺倒ではない」という話もおもしろかった。(文科三類・1年)


船を外国から買っていた大名がいたことに驚きました。船はそれぞれ自分たちの国で造ったものを使っていたのだと思っていました。…また鎖国後、朱印船として使われていた舟を壊さなかったというのは意外です。船があれば、禁止していたとしても行こうと思えば行けるはずです。それほど幕府の権力は強大だったのでしょうか。あるいは鎖国政策はそれほど大名らを束縛できるものではなかったのでしょうか。(文科三類・1年)


唐船の帆は竹であんだだけで、しかもあらいから、あまり上手に風をうけられなかったのではないか?そして、重さもかなりのものだったんじゃないか。ヨーロッパの帆と同様の形の帆が日本で使われていたのはおもしろい。(理科一類・1年)


遣唐使船と日本国内で使われていた船に相当の違いがあり、基本的に中国船の方が構造的にレベルが高く、日本が中国の後をおっていたことを再認識させられた。帆の形も船によって非常に多様で、形に物理学的な優劣があるのかは疑問に思った。やはり徐々に構造的に進化してきたのに、結局は、現在の船にこれらの技術が生かされていないのは残念に思った。(文科二類・1年)


今までなんとなく、西洋船>ジャンク>和船という風な具合で優れていると思っていた常識が打ち破られた思いだ。技術の優劣というのは単純なものではなく、文化的コンテキストや様々なインフラの整備具合によって複合的に決定されるのだろう。黒田日出男氏の論文に、“黒船”のシンボリズムを論じたものがあるが、“黒”の持つ境界的で特殊なイメージが西洋船に投影され、それが後の西洋技術摂取にどう影響を与えていったのか……なども考えてみると面白い気がする。(文科三類・1年)