EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 冬学期テーマ講義 | 東アジアの近代と現代:言語を中心に

月曜2限(10:40~12:10)
教室:12号館 1214教室
担当教員:岩月純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2013.10.28(月)日本2「漢字圏としての近代日本(2)訓読体の普及」

近代という世界は西欧列強に対抗するという意味で、前近代的な漢文は排除されていると思っていたが、逆にそれを利用してアジア圏の一体化を図っていたのは興味深い。(文II・3年)

明治の文明開化の中で、知識人の間では東アジア世界が相対化され、漢文から稀代文が「日本語」として認識されるようになった。その明治時代から現代にいたる過程で、漢語と西洋語(英語)の間で激しく動いてきた結果、今のような日本語ができてきた。このように今の日本語を考察するとき、文明開化が大きな存在感を持っていることがわかるが、これからの日本語を考えるとき、現在のネット普及に伴う日常言語(会話言語)の拡大というものが大きく取り上げられるのではないかと思った。(文I・2年)

国内の民衆の教養の格差、言い換えれば、庶民と知識人の教養差が、日常生活と学術世界の差を生み出していて、その差が生活に密着した通俗文と学問の世界で長年堅持されてきた漢文、そしてそこから生まれた近体文の差につながっていくことを考えれば、両者が相容れない存在であり、知識人がそれを統一しようとして苦慮したのも当然だなと思いました。(文I・1年)

『佩文韻府』の並び順に関して興味をもった。『百科全書』等より以前の欧州の事典などの並びは、宗教的価値観に基づくものであったのと比べると、近代の実用的な配列とは異なる前近代のものとして、西洋と東洋の根本的な違いはこのようなところにもあったように思う。(理I・1年)