EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 冬学期テーマ講義 | 東アジアの近代と現代:言語を中心に

月曜2限(10:40~12:10)
教室:12号館 1214教室
担当教員:岩月純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2013.10.21(月)日本1「漢字圏としての近代日本(1)英華辞典の奔流」

古典的漢語を中心に据えた世界も西洋世界との関わりの中で、英語、オランダ語に普遍的価値が認められるようになり、その枠組みも崩されていった。漢語が論理的思考の手段ともなったわけだが、以上のような日本語の動きを生み出す原動力となった英華字典の存在感は大きいようだ。(文Ⅰ・2年)

英語を媒介として蘭語を訳した際に、それまでの古典漢語の秩序が打撃をうけ、新たな単語が多く漢語世界に流入したという点がとても興味深かった。それまで、実用的にも修辞的にも長らく重視されてきた古典漢語体が崩れる。好意的にみるとするならば、新たな語彙と多く取り込んで進化する際の劇的な変化は、知識人らが意識的に引き起こしたものではなく、新たな言語と接するとき、便宜的にとった手段によるものであるということが、言語が人の道具でありながら、人間の行為を起因としているにせよ、独自の動き、制御することのできない動きを持っているように見えた。(文Ⅰ・2年)

前近代においても、大きく異なる文化圏同士が接する機会は近代ほど多くないとしても、かなりあったが、近代になるまで等価性が高まらなかったのは、どういう要因が関わってくるのか考えてみたい。(理Ⅰ・1年)