2008年度夏学期 EALAI /ASNETテーマ講義 | アジアの自然災害と人間の付き合い方

月曜2限(10:40-12:10) 教室:5号館523
担当教員:小河正基(総合文化研究科准教授)/加藤照之(地震研究所教授)
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

アンケート紹介

2008.07.07(月)7月7日:鈴木弘二「アジアの自然災害と国際貢献」

人工衛星からの情報を共有するプロジェクトでは、日本などの先進国と途上国の技術格差も問題になると思うが、ミャンマーなどの社会主義国や対立関係にある国々(インドとパキスタン)などでは情報を共有できないという状況が生まれるのではないだろうか。(1年・文Ⅰ)



衛星などを使った防災の取り組みがアジア全体と提携されて行われていることを初めて知り、とても画期的なことだと思った。中国や韓国など政治的にはあまり関係がよくなくても政治とは違ったレベルでいろいろな協力ができていければと思う。(1年・文Ⅰ)


Asia Sentinelが人工衛星を利用した情報を共有しているのは分かったが、その情報が実際の災害対策においてどういう形で役立っているのか、また現在までどういった実績をあげているのかについて詳しい説明がほしかった。(1年・文Ⅰ)


今回の講義のテーマは日本が防災においてどういった形で国際貢献ができるかであったと思うが、後半のバングラデッシュや中国の話では災害の状況や原因についての話が中心だったので、もっと日本側の貢献という観点から踏み込んだ話をしてほしかった。(1年・文Ⅰ)


日本で仮に今大きな津波が来ると言われた時、人の多い都市では逃げようとしてうまく逃げることができないのではないかと思う。他の国ではどのように対応しているのか。(1年・理Ⅰ)


先生はサイクロンの被害を受けたバングラデッシュの人に対して、彼らは自分でその地を復興させるようなガッツがないと言っていたが、彼らはサイクロンという人間の力ではどうしようもない大きな自然の力に遭遇して、おそらくその時に自分は何もできず人間の無力さを感じてしまったような気がする。だから彼らはそうしたガッツがないわけではなくて貧困層にいて自分たちの生活すら危ういため、復興などというのは他の人に頼るしかないのだと思う。(1年・理Ⅰ)


政治的パフォーマンスの問題はおそらく全世界に共通する問題であるが、それを解決する方法は共通でないのかもしれないと思った。(1年・理Ⅰ)


今回の洞爺湖サミットでは日本のリーダーシップのなさがしばしば問題とされているが、防災面では、災害の多いアジアの中心としてリーダーシップを発揮していくことが重要だと思う。(2年・文Ⅰ)


災害の規模そのものだけでなく被災地の経済規模に対する経済的被害の大きさも災害を評価する上で大事であることがわかった。(2年・理Ⅰ)


日本は地震や台風が多く、そうした災害と昔から付き合っており、最新の防災技術だけではなく昔からの災害に対する考えなども多く知られている。技術的なものだけではなく、こうしたことも海外に伝えていくべきだと思う。(2年・理Ⅰ)


災害へのレスポンスの問題は重要だと思う(復興計画ではなく初動の問題)。阪神大震災のあと、いろいろとシステムは整備されたのだろうが、完全に中央集権的な国に対し、劣る部分もあるかもしれない。(2年・文Ⅰ)


センチネル・アジアに中国は加入しているのでしょうか。宇宙開発を積極に進める中国は重要であると思います。(1年・文Ⅲ)

【鈴木弘二先生より】
防災についての国際協力は人道支援の一部であり、基本的に相手国、地域の体制や宗教に無関係に行われるべきものであると考える。一方で、受け入れ側の事情として、緊急対応の段階で、外国からの干渉を嫌う場合があることも少なくない。人道支援は、対象国政府と競合して行うものではなく、被災者に対する支援であるという基本方針が受け入れられるような信頼関係の構築が必要である。
日本は防災面では多くの貢献をしている。科学技術を通じた支援がクローズアップされることが多いが、一方で、インドネシアにおいては、現在、国家レベルの防災体制整備に対する社会科学的貢献が行われている。インドネシアでは昨年、新たに防災法が制定されたが、法から政令レベルに委任された防災関係機関の機能等を定める政令案に対するアドバイスや、新たに策定されようとしている国家防災計画、地域防災計画について防災関連の政府機関と共同で作成している例などがある。