人工衛星からの情報を共有するプロジェクトでは、日本などの先進国と途上国の技術格差も問題になると思うが、ミャンマーなどの社会主義国や対立関係にある国々(インドとパキスタン)などでは情報を共有できないという状況が生まれるのではないだろうか。(1年・文Ⅰ)
【鈴木弘二先生より】
防災についての国際協力は人道支援の一部であり、基本的に相手国、地域の体制や宗教に無関係に行われるべきものであると考える。一方で、受け入れ側の事情として、緊急対応の段階で、外国からの干渉を嫌う場合があることも少なくない。人道支援は、対象国政府と競合して行うものではなく、被災者に対する支援であるという基本方針が受け入れられるような信頼関係の構築が必要である。
日本は防災面では多くの貢献をしている。科学技術を通じた支援がクローズアップされることが多いが、一方で、インドネシアにおいては、現在、国家レベルの防災体制整備に対する社会科学的貢献が行われている。インドネシアでは昨年、新たに防災法が制定されたが、法から政令レベルに委任された防災関係機関の機能等を定める政令案に対するアドバイスや、新たに策定されようとしている国家防災計画、地域防災計画について防災関連の政府機関と共同で作成している例などがある。