2008年度夏学期 EALAI /ASNETテーマ講義 | アジアの自然災害と人間の付き合い方

月曜2限(10:40-12:10) 教室:5号館523
担当教員:小河正基(総合文化研究科准教授)/加藤照之(地震研究所教授)
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

アンケート紹介

2008.04.14(月)加藤照之:「概論:アジアの自然災害の特徴・講義の概要」

アジアにおける災害の被災者数が圧倒的なのは、バングラデッシュや東南アジアで毎年のように起こる洪水によるところが大きいと思う。だから日本がモルディヴに援助を出して防波堤を建設したが、他の先進国もODAやOECDを利用してそういった災害対策をとることが重要になる。先進国、特にヨーロッパは狭い領域にEUの機関が集中しているので、地震の際の被害額もアフリカなどの途上国より大きくなるはずである。しかしアフリカでは財の蓄積は少ないながらも人命の被害は大きくなり易いと思われるので、今日のヨーロッパがアフリカの旱魃に注目しているという話には感銘を受けた。自分も以前から将来は国際関係の仕事に就いて途上国開発にもUNICEFなどを通じて関わろうと思っていたのでとても参考になった。(1年・文Ⅰ)



自分はこの日本という国は災害が多いと思っていたが、意外にもアジアの中では被害が小さいと言う。これはアジアの中における先進国としての立場のせいではないかと思える。災害においては先進国としての枠組みよりアジアの一員としての枠組みで考えていかないと対策が不十分になるのではないかと思う。(1年・文Ⅱ)


僕は地震学に非常に興味を持っていてこの講義をとったのですが、単に地震の現象を分析するということに限定するのではなく、地震を含めた「災害」と人間との付き合い方を考えるということで今まで自分の中になかった考えでした。また貧困層の被害が多いということを予想はしていましたが、これほど被害が大きいのは日本のODA等を含めた先進国の具体的なサポートの不足のためだと感じました。引き続きこの講義に出て「災害学」という観点について興味を深めていきたいです。(1年・理Ⅰ)


貧困層に被害が集中しているという点に関連して、先日都市工学の先生の授業で「伊勢湾台風は多くの被害を出したが、近年同程度の台風が同地域に上陸した際の犠牲者は桁違いに少なかった」という話を聞いたことを思い出しました。そこから社会基盤の整備は重要だと一度は思ったのですが、経済的な問題や自然がつくる風景やそこから生まれた文化などを考えるとハード面だけでなくソフトの面についても十分考えなくてはならないだろうと思いました。その点からも自然・人文・社会科学のあらゆる側面から災害をとらえるような枠組みはとても興味深いと思いました。(1年・理Ⅰ)


世界で最も自然災害の多い地域であるとされる日本に住んでいることに近頃不安すら覚えるようになっていました。しかしその一方で自然災害(特に地震)についての知的探究心が高まっていたのもまた事実です。今回の講義を聞いて「短期的には“災害”でも長期的には“恩恵”となる場合がある」ということが最も印象に残りました。目先のことにとらわれすぎず長期的な視野で自然災害をとらえられるようになりたいと感じました。(2年・文Ⅲ)


私は大学院からアジアの都市遺産調査を研究することになりました。今まで様々なアジアの国へ行ってみて貧困を目の当たりにし同じアジア人として何か協力したいと思いアジアの研究を志しました。特にベトナムに去年訪れた際に中部のフエ滞在中に身動きがとれない程の洪水に見舞われ、街の機能が停止していきました。しかし飛行機で、数時間でホーチミン市に行くときれいに晴れ、観光客でにぎわいとても豊かでした。南部と中部の格差は中部で度々起こる洪水によるものだと知りました。日本にいるとホーチミンの賑わいにばかり光が当たっていましたが、ベトナムの国を本当に知れた気がします。まずは何でも知り、見て、経験するべきだと感じました。(工学系研究科建築学専攻)