ひとつ気になったことがある。エネルギーの問題である。確かに生産率は伸びた。しかし、それを支えているのは化学肥料や機械で、それらにはエネルギーが必要だ。輸送コストはかからないかもしれないが、輸送のエネルギーはかかる。エネルギーが有限であることを考えると、そう楽観的にいつまでも生産率が世界中で伸びるとは思えない。(1年・文Ⅰ)
農地・農業から世界を見る、歴史を見出すというのは斬新だと感じた。最後にあったベトナムの農民の話が非常に面白かった。「貧しい農民に稼がせてあげたい」という思いが私の中のどこかにあるような気がする。ところが、農業をやらせても損になる、過去の日本がそうである、と言われてはっとした。(1年・文Ⅲ)
「人口が急増する中、世界では食料需要が高まって、このままだと食糧不足になる」と思い込んでいたので、肉の生産量が高まっていて、そのような見解は必ずしも正確なものでないことが意外でした。また、日本の食料自給率が低いことは有名ですが、戦争などで食糧自給率が低いことが不利につながらないと考えられる今、わざわざ高めようとする必要がないという意見は斬新でした。でも私は、日本がいっさい農業を放棄するというところまでは賛成しかねます。これから自給率を上げる必要は無くても、すべてを輸入に頼るのは、万が一輸入国に何かあった場合など、不安な要素が多いと思います。(1年・文Ⅲ)
歴史の長いところは耕地を広げているから、耕地の分布を世界地図上に広げると、人類がどこで何をやってきたのかがわかるというのは興味深い。歴史の浅いところでは耕地にできる森林がまだ残っており、未開発の部分を開発するか、地球温暖化に歯止めをかけるために自然を保護するかというのは、人類がこれからどういう方向に進むかに大きく左右されるだろう。(1年・文Ⅰ)
生産性の向上、食糧危機のまやかし、食肉生産の変化など、興味深い話でした。アジアに大量の農民がいることと、最先端の技術が導入されれば農業人口を減らさざるを得ないことを合わせて考えると、一般的な「国家が豊かになる過程」にアジア諸国が乗っていくのかと思えて少し楽しかった。「これからのグローバル・ヒストリーはアジアのものとなる」との言葉が印象深い。(2年・文Ⅱ)