EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 2016年度Sセメスターテーマ講義 | アジアにおける「植民地化」と「脱植民地化」 転換と変容のプロセス

月曜日4限(14:55〜16:40)
教室 514教室 K212(KOMCEE EAST 2階) K011(KOMCEE EAST 地下)
担当教員:岩月 純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2016.06.20(月)ハワイ(1)

アメリカが「州」ではなく「テリトリー」として政治的自由を認めていない地域があるというのは驚異的だった。アメリカは人権や自由の守護者を名乗る資格はない。
(文III・4年)


私はアメリカに4年間と半年住んでいたため高校で少しだけ(世界史やUS Historyの授業で)ハワイの歴史について学んだ。しかし、ハワイの州の中にハワイネーションをつくるという法案があるとは知りませんでした。この授業で最も印象に残っていることは2つあって、1つは「パラダイスと基地は隣り合わせにある」ことと「Under tewitaryにすることは植民地と同じではないか」ということです。この2つの問題提起には、私も深く関心のあるものでした。私が高校でこのハワイの歴史を学んだ際、「クーデターを起こしたビジネス界の人たちのせいで」といったニュアンスで教えられたように思いますが、ヨーロッパ人が始めにハワイに来たことや、アメリカがその後ハワイをannexしたことといったような広い視野でこの歴史を今回学ぶことができ、とても勉強になりました。
(文I・2年)


1898年のハワイ合併までの流れから、真珠湾攻撃、アカカ法や「Hawaii needs You」の記事に至るまでの、ハワイの植民地化・脱植民地化の動きを知ることができよかったです。高校のときに世界史を選択していなかったのでハワイの細かい動きについてはほとんど知りませんでした。アカカ法について中道の民主党が賛成していて、右派の共和党や左派のハワイアンの人々が反対しているという点が興味深かったです。賠償金や実際の法改正の伴わない「謝罪」から生まれる問題については、日本と中国・朝鮮半島の問題においても考えられることが多いと思いました。
(文I・2年)


月並みな感想であるとは思うのですが、今としては観光地としてのイメージの強いハワイが、ここまで激動の歴史をあゆんできていたことに非常に驚きました。今としては、ハワイはアメリカの一部であり、ハワイに行くといっても、どこかアメリカへ行くような感覚がついてまわるような気がしますが、アメリカとは全く関係なかった時代が長く続いたことを聞き、いかに歴史について無知であるか、ということを痛感しました。長く、全く外界から遮断された状態だったものが突然よく知りもしない人たちが多く流入してきた時、ハワイの先住民はどのような気持ちだっただろうか、あれよあれという間に産業構造がかわっていく過程の中で、どのきょうにその変化に応じようとしていったのか、という主観的な面で多く気になることがありました。今となっては、多くの人がアメリカの一部として捉えがちなハワイ、そして独立をはたしたいハワイ先住民の人のことを考えたときに、どこか心苦しい中にもすでにアメリカとの強いむすびつきの中でした歩んでいけないのではないかと思ってしまうところがありました。
(文I・2年)


ハワイの歴史を考えると他の多くの植民地化された地域と同様に19世紀~20世紀の帝国主義の流れの中で植民地化されたのはまぎれもない、しかしハワイの特徴は我々がそうであるように(特に日本でも)植民地であるという認識があまりされていないことであると思う。アメリカは第2次世界大戦でハワイが日本に攻撃されたことをあくまで「植民地が攻撃された」というよりも「本土が攻撃された」のごとく報道し、ナショナリズムをあおった。このような歴史的事実からもアメリカ本土であってもハワイを植民地として認識していない人々が多いのではないか。このようなことは日本の沖縄で一部が植民地であると主張していることと共通点があるようにも感じられる。
(文II・2年)


今回は、ハワイ植民地化の経緯を始めて詳細に聞き、未だに植民地とアメリカ合衆国内の一州の間でゆれる現在のハワイについての知見が深まりました。一度、合併を拒否された後に再び合併されて今なおそのままであるということは皮肉な結果に思えます。ただ、最後のnationに関する制度を完璧に理解できなかったので、次回の講義で触れて頂ければ幸いです。また、最後の歌は政治的に主張をあんなに軽やかに歌いきるのは、感動の域に達しています。
(文II・2年)


ハワイはイギリスが香港を占領したり、フランスがベトナム等を占領したのとは異なりそのままアメリカの占領後自国に編入された点で特殊性を感じました。ハワイは様々な企業を誘致することで経済を発展させる一方価値の高騰や環境破壊などの問題を抱えているようなのでそうした問題の解決策を考えることが肝要だと思いました。


ハワイが植民地であるのか、は議論が残りそうであっても、その合併のプロセスは、朝鮮やインド、ベトナム等の場合と比べて、形式的にも完全に強制性を排除できておらず、その意味ではもっとも「植民地的」であるとも考えられるのではないかと思いました。脱植民地化というテーマで考えたとき、いまだそれを達成していないというように捉えたら、その実現を変えるような環境はどのようにして作られていくのかということを考えることは非常に興味深く感じました。
(文III・2年)