EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 2016年度Sセメスターテーマ講義 | アジアにおける「植民地化」と「脱植民地化」 転換と変容のプロセス

月曜日4限(14:55〜16:40)
教室 514教室 K212(KOMCEE EAST 2階) K011(KOMCEE EAST 地下)
担当教員:岩月 純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2016.04.25(月)朝鮮(2)

植民地期からその後の日韓関係を捉えるのは非常に困難なことであることがわかった。国交の正常化が行われたのが、相互の情報が十分に伝わっているとは言えない時代/状況下であったことが「もはや無効」問題と同様に物事を複雑にしているのだろう。またこの問題は、日韓の歴史認識問題とも深く関わっており、日韓関係の今後のためには両方の問題に真剣に取り組む必要性を感じた。(文II・2年)


今年は第二次世界大戦、太平洋戦争終結から71年経ち、日韓ともに戦前の直接的な経験がある人々の数はかなり少数であるにも関わらず、「敵対的共犯関係」によって負の感情の連鎖が世襲化されていることはとても相互ともに不利益であるように思った。(文III・2年) 


日本が韓国を植民地化する際の条約(旧条約)の適法性がずっと議論されてきたが、今日の講義を聞いて、戦後の日韓基本条約及び4協定についても、必ずしも両国民の同意の上で締結されたものではなかったという点は考慮する必要があると感じた。特に韓国は冷戦という状況のもと、いわゆる「開発独裁」の時代であり、軍事政権による強権的支配が続く中で条約締結に至っているため、その時点では抑え込まれていた韓国の人々の不満が今になって表面化してきているのではないかと思う。その点を踏まえ、日韓双方の国民が納得できる道を探ることが今後の歴史研究の課題だろう。(文III・2年) 


「植民地近代性論」の中の韓国の日常生活に未だ植民地支配時の規則により生まれた文化、習慣が残存しているということに興味をもった。またこうした文化、習慣が本当に悪であるのか決定するのは難しいことだとも思った。「植民地近代論」の、日本が自国の利益をあげるために韓国の制度や設備を整えたことは解放後の韓国にとってプラスになったとは思うが賠償金を払わなくて済む理由にはならないと思った。(文III・2年) 


「敵対的共犯関係」が非常に興味深かった。歴史認識をめぐりすれ違っているようで出口があるのか分からない議論を卒業して新たな日韓関係を樹立できないかと思う。(理I・2年)


今回の授業では日韓の植民地問題の歴史についてよく理解することができました。一人の首相の発言や国民運動によって植民地問題がゆれ動いている状況はこの問題の重大さや国民の関心の深さが良くわかりました。教科書の文言の変更1つを取っても韓国民が大きく反発をすることなどからこの問題の根深さが良く理解できました。(理II・2年) 


歴史に限らず物事一般についても言えると思うのですが、現象や評価は様々な側面で見るべきだと思う。今回出てきた「植民地政治は日本の韓国への収奪」なのかという問題にも言えると思う。「日本はある側面で見れば韓国国民の富を収奪したと言えるが、また一方ではその後の韓国の発展の基礎となった」となぜ言えないのだろう。どちらかに決めこんで議論するのはより真実に近づけない気がする。(文I・1年)