EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 2016年度Sセメスターテーマ講義 | アジアにおける「植民地化」と「脱植民地化」 転換と変容のプロセス

月曜日4限(14:55〜16:40)
教室 514教室 K212(KOMCEE EAST 2階) K011(KOMCEE EAST 地下)
担当教員:岩月 純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2016.06.27(月)ハワイ(2)

ハワイの独立問題をめぐり、日系移民がどの立場に立つのかは非常に複雑な問題を抱えていると感じた。Mauna Keaの望遠鏡の問題は、ハワイの先住民たちのアイデンティティを傷付けることになる一方で、そういったアイデンティティが常に科学よりも優先されるべきだという考えが必ずしも正しいとは言えないと感じた。この望遠鏡の問題は、ハワイの先住民の問題に限らず、民族的マイノリティの問題に広く共有できると考えられる。
(文I・2年生)


植民地化というものが、後代にまで残す影響の大きさというものは、これまで授業で扱った様々な国での出来事を見て感じたことではあったけれども、ハワイやマーシャル諸島といった、くり返し植民地化されたところでは、それらの影響がより複雑に絡まり合ったものになっていると感じた。独立運動をするに際して、植民地化した者とされた者、という両者だけではなく、かつて植民地化した国の末えいも関わってきて、複雑になっている。また問題をややこしくしている要因のひとつとして、アメリカがあまりにも強大な国であることも関係していると感じた。
(文I・2年生)


Settler colonialismについて詳しく知ることができてよかったです。日本からの移民がさとうきび農園の労働力となることで自覚なくハワイの植民地化に加担していたということが興味深いと思いました。現在ハワイに住んでいる日系を含むアジア系の人々が“自覚なく”移住してきた人々の“子孫”であることを鑑みると、ハワイアンの人々が求める国家回復過程でアジア系の人々の責任を追及することの難しさを感じます。TMTに対しての反対運動に関しては富士山の例えが大変わかりやすいと思いました。ハワイアンの人々がTMTにここまで抵抗を示す場合が存在しているのは、ハワイアンの国家が「うばわれた」ことに対して向き合う議論が不十分だとハワイアンの人々が感じたからこそであると思いました。
(文I・2年生)


これまで見てきたのは植民地となり、脱植民地化を遂げた国ばかりであったので、まだ脱植民地化を果たしていないハワイはとても新鮮に感じた。というのも、これからどうなっていくのか(どういう選択をするのか)多くの選択肢があり、ハワイには様々な移民がいて各々のルーツによっても今後のハワイの在り方についての意見が分かれていると思うからである。植民地化を前にして、やはりアメリカからうけている恩恵を全て捨ててアイデンティティを取り戻すというのは難しいと思うのだが、それでも“自分たちはアメリカ人ではない”と叫ぶことは、かなりの覚悟を要するものであり、そこまで自分たちのアイデンティティと向き合えることはすごいことである。今までのままで不自由がなければそのままでいい、と考えることすらいないという状況も十分考えられるのに、である。
最後に、“どういうスパンで捉えるか”というお話しがあったが、現在から過去だけのスパンだけでなく、もしかしたら未来へのベクトルで考えることも必要なのではないかと感じた。日本人としてアイデンティティを考えることは私自身ほとんどなかったがTMTのことをはじめとしてよく考えていきたい。
(文I・2年生)


ハワイでの先住民の独立運動はハワイの現在の住民の民族多様性をかんがみても多国における脱植民地運動や独立運動と同一に考えることはできないように思われる。ハワイに住む移民系の人々は先住民を積極的に抑圧したわけではないが植民者となった人々である。このような人々は必死でハワイという土地でアメリカ国民として生きてきたのであり、ハワイとい土地に対するアイデンティティだけではなくアメリカ国民としてのアイデンティティも強い。そのため植民地化以前の歴史的事実から先住民による独立を行うことは逆に植民者の移民系住民を消極的に抑圧することにもなりかねず独立運動を単に脱植民地化ととらえることは不適切であろう。
(文II・2年生)


フラに込められた様々なメッセージ(併合反対etc)がTMTへの反対に実際に使われているのを見てこれからは見方を変えよう、と思った。また、南太平洋諸島の一部としてのハワイ、そこでの植民地支配の悲劇は日本が一時的に関係した事も相俟って非常に興味深かった。移民の国アメリカの一部となってしまったハワイにおいて、ハワイアンの主張する独立は難しいとは思うが、大幅な自治を与える事で、先住民インディアンと同様に保護していく方向づけは必要だと思う。
(文III・2年生)


ハワイ独立を求める歌、フラの存在や、TMTに対する反対運動(植民地化と結びつけて)、さらに先週の授業を受けて、改めて、ハワイに未だに残る植民地化されたことへの強い反発を感じた。日本では「観光」というイメージが強いが、このような歴史的負の側面についても、報道し向き合っていかなければならないと思う。特に、TMTに関して日本で言う富士山のような山に、他国が巨大な望遠鏡を作るのは、環境保護の観点からみても大きな問題だと思う。自分が日系人だったら、、、ハワイ人だったら、、、と仮定すると本当に難しいが、個人的にはAkaka Billのような案が良いのではないかと感じた。完全な独立は現実的でないし、かといってこのままだと独立運動や対立が深まるだけなので、Akaka Billである程度の自治を認めるべきだと考える。
(文III・2年生)


ハワイに明治時代に移民としてやってきた日本人は確かにsettler colonialism という観点から見ると、れっきとした“植民地化した側”の人間であると考えると、ハワイが脱植民地化する過程で日系移民はどのような立場におかれていくのか非常に難しいと思った。ハワイは日本語の通じる場所、というイメージはあったがそれも見方によっては植民地化の爪痕にすぎないのだと思った。マウナケアの問題について、ハワイの住民が反対しているということは初耳だった。ハワイの人々にとって、聖なる土地であるという感覚は科学的成果のみを追求する日本側には欠けている視点なのではないでしょうか(そのような報道・言及がほとんどされていないことから)
(文III・2年生)