EALAI:東京大学/東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ | EALAI 2016年度Sセメスターテーマ講義 | アジアにおける「植民地化」と「脱植民地化」 転換と変容のプロセス

月曜日4限(14:55〜16:40)
教室 514教室 K212(KOMCEE EAST 2階) K011(KOMCEE EAST 地下)
担当教員:岩月 純一
東京大学 東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ

questionnaire

2016.05.09(月)インド(2)

これまでのインドのイギリスからの独立運動のイメージはガンディーを中心とし、非暴力、不服従という原則のもと全国民で団結したというものであったが、それは部分的で一面的なものであったことが分かった。多数派であったヒンドゥーと少数派であったムスリムや不可触民との間での自らの権利をめぐる争いが繰り広げられており必ずしも全国民が統一的に活動していたわけではなかったことが特に印象的だった。また、ガンディーが「Hind Swaraj」の中で「イギリスの状態は憐れむべき」と述べ、その具体的(原文ママ)として鉄道や弁護士、医師を挙げたことは感覚的に納得しがたいものだった。(文II・2年)

高校時代に世界史をやっていなかったせいかもしれないが、インドの独立にはガンディーの独断のような形ですすめられたというイメージがあったので、授業のように複数のグループの主張が入り乱れる中で独立を達成したという事実には少し驚きを覚えた。
 また感じたのはインドのような様々多様な宗教集団、下位文化が複雑に分かれているという中で、多数決という原理よりも留保制度といった少数派を最大限まで尊重するという他の国と異なった民主主義制度をとったことはかなり有効なデモクラシーの形なのではないかと感じた。(文III・2年)

高校世界史ではインドの独立は国民会議派からの視点でしか記述されていないため、ムスリム連盟や不可触民からの視点で独立運動を捉えるのは自分にとっては新鮮だった。そしてそれぞれの立場を見るにやはり様々な宗教や階層が入り混じった地域が一つの国民国家として独立するのは難しく、妥協に伴う分割であれ多くの問題が残存するため、現在世界で主流なシステムの欠陥を感じた。
また、以前はイギリスの分割統治がインド独立の混乱を招いたのだと考えていたが、そもそもインドの社会が国民国家には適さなかったのではないかと感じた。(文III・2年)