中国茶 第1回 | Date:November 19, 2007

 岡倉天心の『茶の本』(できれば原文を含めて)を読んで、彼の理解する唐の茶文化と宋の茶文化の
特徴はどのようなものか、それはどの程度的を射ていたかについて、本日の講義を参考にして考察してください。これとあわせて、彼がなぜ唐と宋の茶文化をそれぞれClassic とRomantic と呼んだかも想像してください。
 また余力のある人は、既製の『茶の本』の翻訳(岩波文庫とか講談社学術文庫)の、特に中国関係の部分に変な訳があるのを探してみてください。

 


::Comments [8]

Mitsu said :

唐の茶文化は、一見したところ非常に形式的に見えました。
唐代の煎茶文化に触れたとき、科挙のような七面倒くさい唐の政治制度が
少し連想されました。ある種、確固とした官僚制度を定めたはじめての長期政権で
ある唐には、全てを形式化していく雰囲気があったのかなぁと思います。
岡倉天心が唐の茶文化を「Classic」と表したのは、無理からぬことであり、
私たちが今Classicという言葉に遭遇したときに感じる形式的な雰囲気であるとか、
あるいはClassicという言葉に含まれるClass(階級)という語源に
ぴったりと当てはまるのではないかと思います。
また、宋代の茶文化については、その入れ方やお客への
出し方などが洗練されており、現代の薫風流煎茶等に見られるような、
香り・甘みを楽しむといった「心」があるのでしょう。
だからこそ、天心は「Romantic」と表した、
それにはアロマテラピー的要素や心の豊かさを重んじる精神的要素が
含まれているのだと思います。

私は、今回の授業を受けて、唐の茶文化と宋の茶文化は
北山文化と東山文化に似ているのではなかろうかと考えました。
なぜなら、唐の都長安は安史の乱で荒廃することがあったにせよ、
安定した都でした。しかし、宋はモンゴル帝国に都を奪われ、
遷都するなど、都も戦乱にさらされ、落ち着きのない時代でした。
そのため、唐代には華やかだけれども悠長で形式ばった文化が育ち、
宋代にはすこし地味だけれどもひとときの心の安らぎを求める文化が育ったのだと
思います。今回は、時間の関係上、原文に詳しく当たることが出来ませんでしたが、
いろいろ考えてみることで比較文化的に面白い分野だなぁと思うことが出来ました。

みずき said :

唐では固形の茶をゆでるという茶文化が、宋では粉末状にして入れるという茶文化があったことを学びました。岡倉天心にとって、茶文化の変化はその時代の精神の変化をも表していたのだと思います。彼はClassic,Romanticという言葉で茶文化に限らずそれぞれの時代に生きた人々の精神を表現したようです。
唐の茶文化をClassicと表したのは、まだ洗練されていない荒削りさを残していたからでしょうか。それに比べて茶を粉末にして飲む宋の茶文化は、もっと細やかさがあり、芸術的なものを感じたのかもしれません。だからRomanticという言葉を使ったのだと思います。

recoba said :

唐と宋では街の様子が大きく違っていたという。唐は形式的に区画された居住区に人が住み、夜は人通りもないが、宋では雑然と家や商店が立ち並び夜も人が歩いていたらしい。唐の伝統的・形式的な茶をclassicとして基準にすることで、宋代の開放的な空気の下で発展した新しい形の茶、遊び心のある茶をromanticと言ったのではないだろうか。

takayuki said :

大学に入ってから茶道を学び始めたもので、「茶」といえば抹茶、という気がしていましたが、今回の講義を聞いて、お茶にもたくさんの種類があったことを改めて知り、一気に視野が広がった気がしております。
唐と宋の茶文化の件ですが、『茶の本』に、人生及び無意識な行動は、常に我々の内心の表れである、との記述がありました。これにあわせて、唐の時代が陸羽によって茶の飲み方が体系化された時代で、宋の時代がより芸術性を重んじた時代だ、ということを考えると、講義で習った各時代の茶の作り方も、これらの考えの表れのように見え、それぞれがClassic とRomantic 、といった意味が少しわかった気がしました。

TK said :

私はいままで茶という文化に触れる機会はほとんどありませんでした。ですが今回その奥深さや多様さを知ることができました。唐、宋の茶文化の違いにも驚きました。なるほど確かに唐の茶文化は発展途上のイメージを持ちました。唐の型にはまった茶と比べて宋の繊細な茶文化には柔らかな印象があります。物理的に末茶であることも関係しているのでしょうか。

Y*S said :

Classicというのは、おそらく型にはまったスタンダードなものということであろうと思います。そして、Romanticというのは、Classicの段階でできたスタンダードな形が洗練されることで出来上がっていった柔軟性を持ち、かつ優雅なものという感じがします。
確かに、宋の時代になると繊細さが茶の文化の要素に入ってくるという点では岡倉天心の言っていることは的を得ているのではないでしょうか。

M.O. said :

『茶の本』は、日本語訳のものを読んだのですが、表現が抽象的で、あまり理解できませんでした。岡倉天心は美学者であるため、様式の中に精神を見いだそうとしています。従って、固形状の茶を砕くなど、素朴な飲茶法である唐代はClassic、粉末状の茶を形式にのっとって飲む宋代はRomanticと言えるのではないかと思います。

かなこ said :

私は授業中に岡倉天心があまり今とは比べ洗練されていない感じの受ける唐の茶文化のことをclassicとよんだと先生がおっしゃったことに対してなんだか妙に納得しました。
わたしは茶道に憧れてはいたものの、全くと言っていいほど知識がなかったため、唐の時代と宋の時代の茶道にあんなに違いがあるなんて知らなかったために、固形の茶が元々あったことも知りませんでしたが、宋の時代にはお茶が洗練されいった様子が今回の授業で学べました。
おそらく岡倉天心もその感じを出すためにClassic とRomanticrと訳し分けたのだと思います。

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