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南京大学集中講義

「日本の現代演劇」/ 内野 儀(舞台芸術・パフォーマンス研究)


この授業では1960年代以降の日本の演劇を中心とする舞台芸術の諸相を、表象文化史的な観点から概観する。具体的には、まずは〈西洋近代〉との愛憎半ばする複雑な関係がその自己形成に大きな影響を与えた新劇と呼ばれるジャンルを前史として取り上げて解説する。そこで抽出されるテクストと俳優の身体あるいは上演そのものとの関係をめぐる諸問題を引き受けつつ、続いて、1960年代~70年代、1980年代、1990年代、2001年以降という大まかな歴史区分に従い、各時代における小劇場演劇と呼ばれる、上演と俳優の身体を中心化した(とされる)演劇を中心とする舞台芸術について解説する。代表的な作品の映像資料と同時代の言説を素材とし、そこで何が問われたのかが明らかになればと考える。

1)小劇場演劇前史――新劇という制度と〈西洋近代〉

2)肉体の時代――アングラ演劇とナショナリズム(唐十郎、鈴木忠志)

3)シュミラークルへ――逃走と資本主義(野田秀樹)

4)リアリズムの発明――隠される身体と言葉の失墜(平田オリザ)

5)グローバルへ/から――コドモ身体と〈アジア〉という場所性(岡田利規、矢内原美邦)
    ( )内は取り上げる予定の作家

参考文献
*内野 儀『メロドラマの逆襲――〈私演劇〉の1980年代』(勁草書房、1996)
*菅孝行『戦後演劇――新劇はのりこえられたか』(朝日新聞社、1981)
*唐十郎『特権的肉体論』(白水社、1997)
*鈴木忠志『演劇とは何か』(岩波新書、1988)
*扇田昭彦編『劇的ルネッサンス――現代演劇は語る』(リブロポート、1983)
*扇田昭彦『日本の現代演劇』(岩波新書、1995)
*扇田昭彦編『劇談――現代演劇の潮流』(小学館、2001)
*平田オリザ『平田オリザの仕事1 現代口語演劇のために』(晩声社、1995)
*渡邊守章『演劇とは何か』(講談社学術文庫、1990)