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南京大学集中講義

「《近代の超克》と表象の構造」/ 高田 康成(イギリス文学・表象古典文化)


この授業では、《近代の超克》と呼ばれる一連の論議を考察しながら、日本の《近代》の「表象の構造」を浮き彫りにすることを目指す。まずは、『近代の超克』と題された、太平洋戦争勃発直後になされた円卓会議の報告とその出席者が書いた小論を収めた書物について、その概要と問題点を提示する。そのうえで、日本の「内から」なされてきた議論と、日本の「外(海外)から」なされた批判を理論的に比較検討することにより、「日本の《近代》の表象の構造」を明らかにし、最後に《近代の超克》の議論がもつ今日的意義について触れる。


1)序論
    『近代の超克』(富山房、1979)

2)純潔主義派の表象構造
    林房雄「勤皇の心」(『近代の超克』所収)の分析

3)哲学的考察
    和辻哲郎『人間の学としての倫理学』を中心にして
    カール・レーヴィット『共同存在の現象学』(岩波文庫、2008)

4)《近代の超克》のその後と現在
    竹内好「近代の超克」(『近代の超克』富山房版所収)を中心にして

5)結語

参考文献
*中江兆民『三酔人経綸問答』(岩波文庫)
*河上徹太郎ほか『近代の超克』(富山房、1979)
*加藤周一『日本文化における時間と空間』(岩波書店、2007)
*野口武彦『三人称の発見まで』(筑摩書房、1994)
*西田幾多郎『善の研究』(岩波文庫)
*九鬼周造『〈いき〉の構造』(講談社学術文庫、2003)
*和辻哲郎『人間の学としての倫理学』(岩波文庫)
*和辻哲郎『倫理学』1~4(岩波文庫、2008)
*カール・レーヴィット『共同存在の現象学』(岩波文庫、2008)
*竹内好『日本とアジア』(ちくま学芸文庫、2000)
*柄谷行人『近代日本文学の起源』(講談社文芸文庫、2003)