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南京大学集中講義

「蒼眼が観た歌舞伎」入門/ DE VOS, Patrick(・フランス演劇・舞台芸術理論)


400年以上の歴史を持つ歌舞伎の全貌を数時間で描くことは当然ながら全く無理なことなので、この授業では、蘇州での歌舞伎公演観劇へ向かって、その理解を助けると思われるいくつかの重要な歌舞伎のトピックスを紹介することにとどまる。できる限り目と耳である程度の実感を与えるために、たくさんの映像で実例を見ながら、話を進んでいきたい。感覚や創造力にアピールする豊かな舞台宇宙になっている歌舞伎のみならず、歴史を描き、江戸社会の深層の水脈を汲んで常に変身してきた、一つの時代の歴史を築いたジャンルとして、そして、「近代」(あるいは西洋)と対面しながらここまで生きてきたこの古典演劇としての「かぶき」も浮き彫りにしていきたい。

1)江戸という時代と社会のなかの歌舞伎。歌舞伎がなにを見せたか。

2)時代と世話。ドラマの構造と 役者の芸の成立。

3)演じる身体、踊る身体。女形の場合。

4)歌舞伎の空間と時間。虚構の知覚的装置。

5)世界演劇から見られた歌舞伎。

参考文献
*郡司正勝著、『かぶき 様式と伝承』、ちくま学芸文庫。
*服部幸雄, 富田鉄之助, 廣末保編、『歌舞伎事典』、平凡社
*服部幸雄著、『歌舞伎のキーワード』、岩波書店。
*服部幸雄著、『歌舞伎の構造』、中公新書。
*服部幸雄著、『市川団十郎代々』、講談社。
*服部幸雄著、『絵で読む歌舞伎の歴史』、平凡社。
*古井戸秀夫著、『歌舞伎入門』、岩波ジュニア新書。
*古井戸秀夫著、『舞踊手帳』、新書館。
*渡辺保著、「女形の運命」、岩波現代文庫。