2007年3月27日、南京大学での集中講義が無事終了した。今回の講師陣は、小林康夫、高田康成、石田英敬、田中純、刈間文俊先生という顔ぶれ。授業の盛況はもちろんのこと、学生によるインタビューや、研究者同士のミーティングなど、交流は教室の外にも拡がりを見せた。
「君たちは、東京で桜を見ずに、いつも南京で桜を見るんだね」と笑うのは、南京大学「第二図書館」の異名を取る「先鋒書店(Librairie avant-garde)」 オーナー、銭暁華氏。「先鋒書店」は市の中心部、五台山の地下駐車場をそのまま利用した人文書店で、通りの反対側では桜が数輪の花をほころばせている。氏とは昨年3月の集中講義以来の再会になる。
同行した田中純先生は広い店舗の端から端までを数時間かけて眺め、中国のアナーキーで貪欲な知的好奇心に興味をそそられた様子。そんな私たちに銭氏は、「たくさん買っちゃだめだよ。人生の時間は限られているんだから、本当に良いものだけを少し買えばいい」と声をかける。売りたくない本は置かない、というポリシーのもと集められたという本なのに、この商売っ気のなさ。「第二図書館」とは、品揃えの豊富さ以外に、立ち読み大歓迎という同書店の経営姿勢に対して与えられた雅名だ。
*なお、2006年および2007年の中国滞在をめぐっては、田中純先生の報告も以下に読めます。
■北京郊外・宋庄の芸術家村
■南京の先鋒書店(Librairie avant-garde)
■南京+北京滞在
■都市と路上 雪の白から南京の路上観察へ
■張大力「昇華」
■南京大学の講義
秋山珠子記